先日行われたミリシタの7周年イベント「7D@ys Smile!!」にて、豊川風花37(サウナ)位を達成させて頂きました。
準備の際、先輩Pの皆様の記録やアドバイスを参考にさせて頂いたのですが、通信回線について、
速度や安定性の観点から「IPv6」と「IPoE」の使用をおすすめされている記事をいくつか拝見しました。
なぜこの2つを使用すると良いのか調べたので、同僚の皆様にも共有しようという記事になっております。
前置き
- この記事は、誰でも「なんとなくわかった」となることを目指して書いたので、厳密にはちょっと違う表現があります。
- この記事の内容は、NTTの回線を使って提供される光回線サービス(光コラボ)に関する話です。独自回線を使って提供されるサービス(ex. eo光)では、事情が異なります。
結論
- 通信経路のパンクしやすいポイントを回避できるため
- 利用者認証がスピーディーなため
「IPv6」と「IPoE」とは
そもそも、こいつらなんやいね?
IPv6(Internet Protocol Version 6)
IPv6とは、なまらたくさんのアドレスが使える次世代の通信規格のこと。
郵便なら住所、電話なら電話番号というように、通信には宛先や差出人に関するアドレス情報が必要ですが、インターネットにおいてそれにあたるのが「IPアドレス」というものです。
IPはIPアドレスのルールについて定めた通信規格であり、IPv6は、現在普及が進んでいるバージョンの規格となります。
特徴は、アドレス数の多さ。
これまで主流だったIPv4では約43億個しかアドレスがありませんでしたが、v6ではなまらたくさん(2の128乗個)アドレスがあります。
IPoE(IP over Ethernet)
IPoEとは、スピーディーな利用者認証ができる接続方式のこと。
インターネットへの接続サービスは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)が商用サービスとして提供しているものです。そのため、タダ乗りされないよう、接続してきた人が正規の利用者なのか?この回線を使わせてよいのか?確認する必要があります。
そこで使われるのが、IPoE(IP over Ethernet)という接続方式です。
特徴は、利用者認証の速さ。
接続する際、固定回線を契約した時に送られてくる例の装置(ONUやホーム・ゲートウェイ)に埋め込まれた情報を送ることで認証する「回線認証」という方式を使用しているため、スピーディーです。
例の装置
eoコラム『ONU(光回線終端装置)って何?モデム・ルーターとの違い』
https://eonet.jp/column/optical-line/about-onu-optical-network-unit.html
なぜこの2つがおすすめされるのか
ではなぜこの2つがおすすめされるのか?
それは、この2つの技術を使うことで、従来の接続方式である「PPPoE」(Point-to-Point Protocol over Ethernet)と比べて、通信の安定性と速度が向上するからです。
1回でも多く…1コンマでも速く…楽曲を回さなければいけない状況では、時速の違いや1回の通信エラーが勝敗を分けることもあるかと思います。
渋滞点回避による速度と安定性の向上
例えば、美咲さんがシアターの業務用WiFiからインターネットへアクセスするケースで考えてみます。
以下は従来のPPPoE方式で接続した際、インターネットへ至るまでに通る経路をざっくり表したマップです。
ここでご注目頂きたいのが、網終端装置です。
これは、NTTのNGN網とISPのインターネット網を繋ぐ装置で都道府県ごとに設置されていますが、ここが通信のボトルネックになりやすいと言われています。
ここの渋滞が、従来のPPPoE接続方式で速度と安定性が低下してしまう原因の一つなわけですね。
ライブ後に最寄り駅の改札とホームがとんでもなく混むのと一緒です。
☆NGN網:かつてのフレッツ網(地域IP網)が広域化したもの。
郵便に置き換えると、地元の集配普通局~地域区分局ぐらいまでのイメージですかね…?
一方、美咲さんがIPoE接続方式で接続した場合、以下のような経路になります(右の青点線で囲われた部分)。
なんとっ!
ボトルネックだった網終端装置を回避できるので、速度と安定性が向上します。
(実際は、VNE事業者やNATなどが新たに登場するのでもう少し複雑です)
スピーディーな利用者認証による速度の向上
もう一つ、速度が向上する理由としてよく取り上げられるのが、利用者認証が速くなるということです。
前項でも述べた通り、インターネットへ接続する際、ISPは接続してきた利用者が正規の利用者なのか?この回線を使わせてよいのか?確認する必要があります。
従来のPPPoE方式では、IDとパスワード(回線契約時や開通時に設定・通知されるやつ)によって認証します。
例えば美咲さんがPPPoE方式で接続した場合、ざっくりと以下のようなフローで認証が行われます。
(※認証は回線単位で行うので、ONUがやる。)
一方、IPoEでは、例の装置に埋め込まれた情報(発信者ID)と、接続に使っている回線の情報(回線認証ID)を使って認証します。
例の装置が送ってきた発信者IDと、送るのに使ってきた回線のIDが、事前に共有したものと一致するかで認証しているわけです。
美咲さんがIPoE方式で接続した場合、ざっくりと以下のようなフローとなります。
ここでご注目頂きたいのが
①手順が少ない
②利用者情報の確認が、NGN網内で完結する
点です。
なんとっ!
PPPoEでは、利用者確認のための認証情報(ID・パスワード)をやりとりする必要がありますが、IPoEでは「誰がどの回線で接続してきたか?」という情報だけで認証を行うので、手順と時間が少なくなります。
また、PPPoEでは、ISPのネットワークにあるサーバまで認証情報を確認しに行く必要がありますが、IPoEではNGN網内だけで完結するため、認証にかかる時間が少なくなります。
このように、認証がスピーディーなため、速度が向上すると言われているわけですね。
でも、認証が必要なのはIPアドレスを取りに行く時だけだから、ここがちょっと速くてもあんまり意味なくない…?
IPoEは、IPv6対応回線じゃないと使えない(たぶん)
4-1, 4-2でIPoE接続方式を使うと速くて安定することをご説明しましたが、IPoEは、IPv6対応回線でないと使えないようです(たぶん)。
だから、IPv6とIPoEがセットでおすすめされているわけですね。
☆なぜIPv4だとIPoEが使えないのか理由がわからなかったのですが、なんでですかね…?
サービスとして存在しないだけで、もしかして技術的には可能…?
では、2つの技術を使うためにはどうすれば良いのか
実際に2つの技術を使うにはどうすればよいのか?についても少し触れておきます。
確認すべきポイントは、以下の2つのポイントになるかと思います。
- IPoEに対応した光回線を契約する
- IPoEに対応したルーターを使う/適切な設定をする
IPoEに対応した光回線を契約する
プランによって標準付属だったりオプションだったり、事業者によってオプションの呼び方が違ったりするので、注意が必要です。
例(2024年8月14日現在)
サービス名 | 提供事業者 | IPoE対応状況/対応形態 | オプションの名称 |
---|---|---|---|
フレッツ 光 | NTT東日本 | 標準対応 (ただし、対応プロバイダを選ぶ必要がある) | – |
ビッグローブ光 | BIGLOBE | 標準対応 | – |
So-net 光 | ソニーネットワークコミュニケーションズ | オプション | v6プラス |
IIJmioひかり | IIJ | オプション | IPoEオプション |
コミュファ光 | 中部テレコミュニケーション | 非対応 | – |
※検討の際は、必ずご自身でご確認ください
IPoEに対応したルーターを使う/適切な設定をする
tp-linkの最廉価ルーターでもない限りIPoEには対応していると思いますが、買う時は一応仕様を確認しましょう。
気を付けなければいけないのは、設定でしょうか。
たいていの場合は、ルーターが勝手に最適な設定をしてくれるモードで、自動的にIPoE接続が使われていると思います。
買ってから特に設定をいじった記憶がなければ、ほぼほぼそうです。
(ex. BUFFALOの「インターネット@スタート」、NECの「らくらくネットスタート 2」など)
手動で設定する場合は、ルーターの設定画面で最適な選択肢を選ぶ必要があります。
例えばBUFFALOのルーターの場合の設定画面がこちら。
赤枠で囲った選択肢はすべてIPoE方式で接続する選択肢なのですが、契約したプロバイダによって選ぶべき選択肢が違います。こいつがちょっとややこしい。
選ぶべき選択肢の例
- ビッグローブ光→IPv6オプション
- So-net 光→v6プラス
- IIJmioひかり→transix
- OCN光→OCNバーチャルコネクト
- 楽天ひかり→クロスパス
- AsahiNet光→v6コネクト
※設定の際は、必ずご自身でご確認ください
…なんなん!?
わからなかったら、
「〇〇 ipv4 over ipv6」←〇〇に契約した回線のサービス名を入れる
で調べればわかるかもしれません。
IPoEで接続できているか確認する
契約と設定ができたら、IPoEで接続できているか確認できるサイトで確認しましょう。
googleで調べれば出てきます!
まとめ
なぜミリシタのイベランではIPv6とIPoEがおすすめされるのか?
それは
IPoE方式を使うことで
- 通信の渋滞点である「網終端装置」を回避し、速度と安定性が向上するため
- 利用者認証がスピーディーになり、接続時の速度が向上するため
IPoE方式を使うために
- IPv6環境を利用する必要があるため
という3つの理由からです。
皆様のプロデュース活動へぜひお役立てください♪
ぜ!
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